FC2ブログ

アトリエ通信〜アラスカ野生動物画家きむらけい〜

アラスカ野生動物画家きむらけいの日々徒然

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

偉大なるもの 後編「山男は晴れ男?」

アラスカ取材ベース地にしているキーナイ半島には、
美しい起伏に飛んだたくさんのトレイルロードがあります。
最大標高差は約1,000m位でしょうか。
氷河の宝庫であるこの地には、トレイルロードから
大氷河を見下ろせるポイントが幾つもあり、幾度も足を運んでいます。

最大標高差は約1,000mですが、これがなかなか侮れません。
極北地のアラスカは緯度が高く空気も薄く、
登山道の入口には、日本ではもっと高い山で見られるような
高山植物が咲いています。
雪渓も多く、私達は冬用の登山靴で登ります。

bルピナスDSC04521
ルピナス。ラテン語でループス、オオカミを意味する花

T氏のマッキンリー登頂は過酷な状況の連続。
命の危険にさらされた状況もあったそうです。
現地への往復を含めた3週間という限られた滞在時間しかなく、
短時間で出来るだけ早く最終キャンプ地点へ到達する必要があり
空気の薄い極北地の5,000m以上の過酷な環境中で
知らず知らずのうちにオーバーペースになり
屈強な山男達の体力は容赦なく奪われました。
何とか無事に最終キャンプへ到着するも
メンバー全員の体力は尽き果ててしまいました。
すぐ目の前に見えている頂上への
アタック断念を決断したリーダーT氏。
メンバー全員、無念の涙を流したそうです。

翌朝、T氏が目覚めると、あの激しい疲れから回復していました。
メンバー達も疲れが消えていると口々に言います。
今日も晴天。
アタックするかと問うリーダーに
全員が目を輝かせ「行くっ!」と答え、即決。

山頂までは快適な登攀でついに「偉大なる山」の登頂に成功したのです。
数カットの記念撮影の後、すぐに下山。
しかし山の神様はすんなりと彼らを帰してはくれませんでした。

間もなく風向きが変わり急速に天候が悪化。
この山は北極圏近くの緯度にあるため、強烈な風が吹き荒れます。
その強風に何名もの登山家が吹き飛ばされ命を奪われました。

ガスは瞬く間に辺りを覆いつくし視界は一面真っ白。
遭難の恐怖が隊員達を襲います。
冬山などで遭遇するホワイトアウトは
伸ばした自分の腕の先が見えない程だそうです。

見通しの悪い中で無理に下山すれば
切り立った斜面から滑落する危険性があります。
リーダーは先頭のメンバーに、ザイルを2〜30メートル繋いだまま先行させ、
後ろ向きに反復横跳びの要領で足場を探るように指示。
残ったメンバー全員で先頭が足を滑らせたり滑落した場合に備え、
しっかりとザイルを保持、先頭が示した安全な足場を辿り、
少しずつ慎重に降下する作戦を決行。
後続にいたスペイン隊のメンバーも
彼らが示したルートを辿り、全員が無事下山する事が出来たのです。

展示会会場で記念すべき登頂成功の写真を見せてもらいました。
キャラバン社のブランドフラッグを掲げて、
輝く満面の笑みを浮かべる写真に感動しました。

この山を近くで取材し、
迫力のある絵を描きたいところですが、
しかし、やはり、やっぱり、怖い………。

T氏「きむら君だって鍛えれば大丈夫だよ。登れるよ」
私「んな訳ないじゃないですか」
T氏「いや。大丈夫だよ。登れるよ」
私「無理ですって」
T氏「いつか挑戦してみれば」
私「………。」

「行けるんやろか。一緒にやってみる?」と
元山岳部のパートナーに聞いてみたら
「あなたとザイルを繋ぐの?遠慮しとく。まだ生きたいから」
あっさり振られたのでした。

「デナリ」とは偉大なる者の意味。
どなたかザイルを繋いでくださる偉大なる方はいらっしゃいませんか?

スポンサーサイト

alaska | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<イカにもブラッディだったのは去年まで | ホーム | 偉大なるもの 前編「山男と雨男」>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。