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アトリエ通信〜アラスカ野生動物画家きむらけい〜

アラスカ野生動物画家きむらけいの日々徒然

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アラスカ取材手記〜その2 冷海からの帰還と誓い〜

前回からの続き

沖合に到着後、次第に寒さに強ばっていく体。
とりあえず釣りでもして動いて
寒さと船酔いから気を紛らわさねば。

同船者に薬を分けてもらい何とかリバースを回避。
でも寒気はひどくなる一方。
温かい飲物を持参してこなかった自分を呪う。
同船者達もこの状況を寒いと感じていないので
誰一人熱いコーヒーなど持ち合わせていない。

みんな凄く楽しそうにしていて
参っているのは小さな日本人一人だけ。
ポールさんはこの氷雨の中
トップにフリースを着ているだけで、平気な顔をしている。

bDSC02068.jpg
bDSC02066.jpg

ビリヤード玉くらいのシンカー(重り)をつけた仕掛け。
巨大な釣り針にニシンのブツ切りをセットして海に投入。
いつも灰色に見えるこの海は予想外に透明度が高かった。
投入した重い仕掛けがびゅうううっと急速に流されるのを
のぞき込んでいると、じわじわ、と恐怖感が湧いて来る。

「もし海に落ちたらあっと言う間に流されるなぁ…。」

ポールさんは持って来たサケのアラをブツ切りにして
寄せエサ用にせっせと海に投入し始めた。
これが臭くて臭くて、よりいっそう船酔いに拍車をかけるのだった。
うぷ。

だが釣りのカミサマは見捨てなかった?
釣り開始早々、がくんと強烈な引き込みが私の竿に。

のけぞって大きく合わせると魚がヒットした。
強い潮流を受けながら
重いシンカーと大きな魚を引き上げるのは重労働だ。
やがて体長1m位のハリバット(オヒョウ)が水面に上がり
ギャフと呼ばれる巨大なフックでエラを引っ掛けて甲板に引き上げられた。
凄く嬉しかったけれど寒いわ吐き気がするわで最悪の気分。

bDSC02067.jpg

それからは私も同船者も当たりがすっかり止まってしまい
小舟はシケ気味の沖合で木の葉のように
ぐるぐるとダッチロールを繰り返すだけ。

寒さと必死に戦う私にトドメを刺したのは、
愛用してきたレインパンツの裏切りだ。
縫製劣化による漏水。
冷たいを通り越して痛みすら感じる始末。

ついに全身の震えが止まらなくなり、寄港を要請。

「了解、あと15分だけ待って」とポールさん。
私と同船していたバンクハウスの住人4名のうち1名しか釣れていないので、
もう少し粘りたいらしい。
僕は運良く開始早々にハリバットを仕留め釣りの目的は達成したものの
肝心の取材は不発。

うっすらとした記憶の中で。
ボートの近くでぷかぷか浮いている何頭ものラッコ達が、
可愛い顔で潜り、また浮上し、愛想を振りまいていたような…。

「あと15分だけ待って」から約45分後に釣り終了。
岸に向って進むボートの中で私は固まったまま。
港の気温の高さに安心し、ほっとしてからの記憶がありません。
完全に完璧に失神したらしい。
気がついたのはバンクハウスの駐車場に到着した車中。
体には毛布が何枚も重ねられ
ヒーターががんがんにかかっていました。

同行者には70歳と80歳の二人のお父さんがいて、
「魚はさばいておくから、熱いシャワーを浴びて来なさい」と。
嬉しくて涙が溢れそうになるのと同時に、
申し訳なく、情けない気持で一杯。
かなり落ち込んでしまいました。

そんな気分を吹き飛ばすかの様なシェフを本業とする
ポールさんのすばらしいスペシャルハリバット料理。
美味しくて美味しくて。

翌日は前夜の食べ過ぎと疲労で丸1日部屋に引きこもり。

ただ理由は解らないけれど
もう一度行きたいと強く願う私がいました。
そう、リベンジ取材をするのだ!

そして5年後、その機会が訪れたのです。

その3に続く。

bDSC02063.jpg
ポールさんのリバーボート…戦いの場

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